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メモリ価格が1年で5〜6倍に。ノートPCは今買うべきか、待つべきか【2026年7月時点の実データ】

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メモリ価格が1年で5〜6倍に。ノートPCは今買うべきか、待つべきか【2026年7月時点の実データ】
この記事でわかること
  • ノートPC用メモリが1年でどれだけ値上がりしたか(実データ)
  • なぜ高騰したのか(メーカー公式文書の根拠つき)
  • 「待てば下がる」は成立するのか——主要機関の見通し

ノートPCの価格が、この1年で明らかに上がりました。「もう少し待てば下がるのでは」と考えている方も多いと思います。

結論から言うと、待つ根拠が見つかりませんでした。

調べた範囲で、2026年中の値下がりを予測している主要調査機関はひとつもありません。それどころか、メモリメーカー各社は「2027年を超えて逼迫が続く」「来年は業界史上最悪の年になる」と公言しています。

この記事では、値上がりの実データと、なぜそうなっているのか、そして「待つ」という判断が成立するのかを、一次情報だけで検証します。

※本記事の価格・市況データは2026年7月17日〜18日時点の取得値です。価格・在庫は変動するため、購入時は必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。

ノートPC用メモリは1年でどれくらい上がったのか

秋葉原の店頭価格を継続的に追っている定点調査があります。1年前とまったく同じ調査・同じ表で比較できるので、これが最も信用できます。

ノートPC用メモリ2025年7月2026年7月倍率
DDR5-5600 SO-DIMM 16GB×212,000円79,800円6.7倍
DDR5-5600 SO-DIMM 32GB×223,000円139,980円6.1倍
DDR4-3200 SO-DIMM 8GB2,100円10,800円5.1倍
DDR4-3200 SO-DIMM 16GB3,550円17,800円5.0倍

出典:AKIBA PC Hotline! メモリ価格調査(2026年7月調査2025年7月調査・いずれも各店最安値ベース)

32GB×2のメモリが、1年前は2万3千円だったのに、今は14万円です。

これは測定のブレではない——別々の指標が同じ水準を示す

指標の取り方を変えても、結論は変わりません。

指標期間倍率
秋葉原の店頭定点調査(最安値ベース)2025年7月→2026年7月5〜6.7倍
TrendForce のメーカー契約価格から複利計算直近4四半期約5.3倍
同店頭調査ベースの平均価格(PC Watch集計)2025年6月→2026年1月(約7か月)約5.3倍

店頭の最安値・平均価格、そして独立系調査会社が集計するメーカー間の契約価格——どの指標で測っても5倍超なので、これは実勢と考えてよいはずです。

※「平均価格」と「最安値」は別の指標です。本記事では混同しないよう、出典ごとに分けて記載しています。

なぜメモリが高騰したのか——AIがメモリの製造ラインを食っている

理由は一時的な需要増ではなく、構造的な供給不足です。しかもこれは、メーカー自身が公式文書で認めています。

SK hynixが米国証券取引委員会への提出書類で自認

2026年7月にSEC(米国証券取引委員会)へ提出された目論見書(Form 424B4)には、「Traditional DRAM: A Structural Supply Constraint(従来型DRAM:構造的な供給制約)」という見出しがあります。

「主要なメモリ半導体メーカーは、限られたクリーンルームのスペースと設備投資をHBMの生産に割り当ててきた。HBMは需要が旺盛であり、従来型DRAMと比較して製造プロセスの複雑さとウェハ消費量が著しく大きいためである」

「HBMとサーバー向けDRAMのこの著しい需要増が、PC・モバイル・コンシューマ向けDRAMの供給を著しく制約した

(出典:SK hynix Form 424B4(SEC提出書類・英文)より訳出)

仕組みはこうです。

  1. AI向けのHBM(広帯域メモリ)は、同じ容量を作るのに普通のメモリより多くのウェハを消費する
  2. 工場のクリーンルームは有限
  3. HBMを増産すれば、物理的に普通のメモリの取り分が減る
  4. しかもHBMの方が収益性が高いので、各社がそちらに設備を振り向ける

一時的な需要の波で高くなっているのではなく、作る場所そのものがAIに取られているということです。

決定打:Micronが個人向けブランド「Crucial」から撤退

2025年12月、Micronは個人向けメモリブランド「Crucial」からの撤退を発表しました。29年続いたブランドです。

データセンターにおけるAI主導の成長が、メモリとストレージの需要を急増させた。Micronは、より大規模で戦略的な、成長の速いセグメントの顧客への供給とサポートを改善するため、Crucialのコンシューマ事業から撤退するという困難な決断を下した」——Sumit Sadana氏(EVP兼Chief Business Officer)

(出典:Micron公式プレスリリース(英文)より訳出)

「個人向けは後回しにされている」という話は、推測ではありません。メーカーが実名で、そう言って事業を畳んでいます。

待てばメモリ価格は下がるのか——2026年中の下落予測はゼロ

ここが本題です。調べた範囲で、2026年中の値下がりを予測している主要調査機関はひとつもありませんでした

発表元見通し
Counterpoint Research変曲点は最速で2027年第4四半期
IDC2027年末まで緩和なし。2025年の水準に戻る可能性は低い
Micron CEO逼迫は2027年を超えて継続。2028年に緩やかに改善
SK hynix CEO「来年は業界史上最悪の年になる」
Intel CEO2028年まで緩和なし

Micronは決算説明で、供給が追いつかない理由まで説明しています。

「世界中で工場建設のリードタイムが長い、熟練工が不足している、許認可を含む規制が複雑、エネルギーインフラの増強が必要

「2028年に業界の供給が徐々に改善すると見込んではいるが、メモリ供給が需要に追いつく時期については、現時点で見通しが立っていない

(出典:Micron FQ3 2026決算資料(英文)より訳出)

「上昇の鈍化」を「下落」と読み違えない

TrendForceの契約価格を見ると、上昇率は確かに落ちています。

四半期従来型DRAM契約価格(前四半期比)
2025年4Q+45〜50%(確定)
2026年1Q+93〜98%(確定)
2026年2Q+58〜63%(予測)
2026年3Q+13〜18%(予測)

出典:TrendForceプレスリリース(4Q251Q262Q26予測3Q26予測・いずれも英文)

ただしこれは「下落」ではなく「上昇の鈍化」です。水準は上がり続けます。+13%という数字は「前の四半期よりさらに13%高くなる」という意味です。

TrendForceは鈍化の理由を「契約価格がすでに記録的な高水準にあり、コンシューマ顧客側の価格許容力が限界に達しているため」と説明しています。つまり、高すぎて買い手がついていけなくなったから上げ幅が縮むという話であって、供給が改善して安くなる話ではありません。

実際に、ノートPC本体はどれだけ値上がりしたか

抽象的な話にしないために、具体的な1機種を追いかけます。ASUSのビジネスノート ExpertBook P3(PM3406CKA、メモリ32GB構成)です。

時点価格(税込)
2025年11月(発売時・ASUS公式発表)149,800円
2026年7月(ASUS Store実売)189,800円

同じ機種が、約8か月で約4万円上がりました。市場全体を代表する1台ではありませんが、「待てば安くなる」とは限らないことを示す実例です。

DDR4世代のPCを使っている人は、もう一段やっかい

高騰はDDR5に集中していますが、DDR4には別の問題があります。生産終了(EOL)です。

当初の計画では、Samsungが2025年12月、Micronが2026年第1四半期、SK hynixが2026年4月に最終出荷の予定と報じられていました。その後、SamsungとSK hynixはDDR4が想定外の収益源になったことから2026年まで生産を延長したと報じられています。Micronは撤退方針を維持しています。

出典:TrendForce(DDR4 EOLタイムライン生産延長への方針転換・いずれも英文)

その結果、異常な価格逆転も起きています。TrendForceによれば、2025年7月にはPC向けDDR4モジュール(8GB)の価格が同容量のDDR5を上回る「価格逆転」が発生しました。旧世代が新世代より高い——普通は起きないことです。

ただし増設コストで見ると、現時点ではDDR4の方がまだ安いです。同じ販売店・同じ日の「32GB→64GB化」の差額を比較すると、DDR4は23,100円、DDR5は159,180円(約6.9倍差・2026年7月17日時点のBTOカスタマイズ画面実測)でした。今DDR4世代のPCを使っていて増設したいなら、まだ間に合います。

結論:必要なら今。待つ理由が見つからない

整理します。

「待てば下がる」を支持する材料

  • 2026年中の下落を予測する主要機関:ゼロ(調査した範囲内)
  • 最も早い予測でも変曲点は2027年第4四半期(Counterpoint)
  • IDCは「2025年の水準に戻る可能性は低い」との見解

「必要なら今」を支持する材料

  • 上昇率は鈍化しているが、水準は上がり続ける
  • 実例:同一機種が約8か月で+4万円
  • 供給側の回復要因(新工場・熟練工・エネルギーインフラ)は、どれも数年単位

したがって、「PCが必要な状態にある人が、値下がりを待つ」という判断は、現時点では成立しません。

逆に言えば、急いでいない人が今わざわざ買う理由もありません。高値であることは事実だからです。判断の分かれ目は「今のPCで業務や学業が回っているかどうか」であって、「相場が下がるかどうか」ではない——というのがこの記事の結論です。

買うと決めた場合、損しないための3点

  1. 「必要なメモリ容量を安く積める機種」を選ぶ。同じ32GBでも、メーカー・機種によって到達コストが大きく違います。2026年7月時点の実例では、あるBTOメーカーは8GB→32GB化に+75,900円(最安構成でも22万円超)、別のメーカーは32GB構成が14万円台でした。同じ容量で8万円以上の差です。
  2. 「後から自分で増設すれば安い」は今は成立しない。市販のメモリキット自体が高騰しているため、あるBTOメーカーではBTOの64GB化オプション(+153,000円)が、自社で売っている増設用キット(153,980円)より安い(組込・保証付きで)という逆転も起きています。
  3. 仕様表ではなく、実際の注文画面で確認する。仕様表に「最大64GB」とあるのに、注文画面には64GBの選択肢が存在しない機種を実際に確認しています。メモリ構成は必ずBTOカスタマイズ画面で確かめてください。調べ方の手順は「そのノートPC、メモリ増設できますか?買う前の調べ方」にまとめています。また、価格表示そのものの落とし穴は「BTOノートPCの価格表示で気をつける6つのこと」で解説しています。

メモリ容量そのものの選び方(何GB必要か)は、メモリ・ストレージの選び方ガイドにまとめています。また、AIツール(Claude Code等)を業務で使う方向けには、AIエージェント用途のメモリ実測記事で「32GBで足りる根拠」を実測データつきで解説しています。

よくある質問

メモリが高騰しているのはなぜですか?

AI向けの広帯域メモリ(HBM)が、工場のクリーンルームとウェハを消費しているためです。HBMは同じ容量を作るのに普通のメモリより多くのウェハを使うため、HBMを増産すると物理的に普通のメモリの生産量が減ります。SK hynixは米国SECへの提出書類で、これを「構造的な供給制約」と自認しています。

待てばメモリ価格は下がりますか?

調べた範囲で、2026年中の値下がりを予測している主要調査機関はありませんでした。最も早い予測でもCounterpoint Researchの「2027年第4四半期」で、IDCは「2025年の水準に戻る可能性は低い」としています。

上昇率が鈍化しているというニュースを見ました。安くなるのでは?

「上昇の鈍化」であって「下落」ではありません。TrendForceの2026年第3四半期予測は前四半期比+13〜18%で、上げ幅は縮んでいますが価格は上がり続けます。鈍化の理由も「価格がすでに記録的な高水準で、買い手側の許容力が限界に達したため」であり、供給が改善したからではありません。

今使っているPCのメモリを増設するのと、買い替えるのはどちらが得ですか?

使っているPCがDDR4世代で増設可能な機種なら、増設の方が割安です(同一店・同日の比較でDDR4の増設差額はDDR5の約7分の1)。ただしDDR4は生産終了が進んでおり、将来の入手性には不安があります。DDR5世代の場合、増設コストが本体価格に迫るため、必要容量を最初から積んだ機種を買う方が合理的なケースが多くなります。買い替えガイドも参考にしてください。

まとめ

ノートPC用メモリは1年で5〜6倍に高騰し、その原因(AI向けHBMへの生産能力シフト)は構造的なものです。主要機関で2026年中の下落を予測しているところはなく、メーカー自身が「2027年超まで逼迫」と公言しています。PCが必要な人にとって、「待つ」は現時点で根拠のない選択です。買うなら、必要なメモリ容量を最初から安く積める機種を、実際の注文画面で確認して選んでください。

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AIツールを業務で使う方は、実測でメモリ必要量を検証した記事が判断材料になります。メモリの基本から知りたい方は選び方ガイドへ。

▶ AIエージェント用PCのメモリは何GB必要か【実測】
メモリ・ストレージの選び方ガイド

本記事は2026年7月18日公開。価格・市況データは2026年7月17日〜18日時点の各公式サイト・公式発表の実取得値に基づきます。市況は変動するため、四半期を目安に更新予定です。

監修者

江田健二のプロフィール画像

江田 健二(RAUL株式会社 代表取締役)

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュアにてエネルギー・IT分野のコンサルティングに従事。2005年にRAUL株式会社を設立し、企業のシステム開発支援からWebマーケティング戦略まで幅広い領域を支援してきた。

IT・デジタルテクノロジーおよびエネルギー業界・電力ビジネスに精通し、デジタルと社会インフラの接点を捉えた情報発信を行っている。

光回線、VPN、PC、格安SIM、電力系のメディアを複数運営。Yahoo!ニュース公式コメンテーターやテレビ・ウェブメディアでも幅広く発信中。

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