Tech Tips

AIエージェントを使うノートPCのメモリは何GB必要か。実測したら32GBでした

※本ページにはプロモーションが含まれています。

AIエージェントを使うノートPCのメモリは何GB必要か。実測したら32GBでした
この記事でわかること
  • AIエージェント(Claude Code等)を使うPCに必要なメモリ容量(実測)
  • 「並列数だけメモリが要る」が誤解である理由
  • 「遅い」の原因がメモリなのか、CPUなのかを切り分ける方法

AIエージェント(Claude Code、Cursor、GitHub Copilot などのAIコーディングツール)を仕事で使う人が増えました。では、そういう使い方をするノートPCに、メモリは何GB必要なのでしょうか。

ネットでは「AI開発なら64GBは欲しい」といった記述を見かけます。筆者も最初はそう試算しました。そして、実測したら間違っていました。

結論は32GBです。筆者の実測では16GBは足りず、64GBはこの用途では使い道がありませんでした。

この記事では、実際にAIエージェントを終日動かしている業務PCの性能カウンタを測定して、その根拠を示します。筆者が調べた範囲では、日本語圏にこの種の実測データはまだほとんど公開されていません。

よくある誤解:「AIエージェントをN並列で回すなら、メモリもN倍要る」

筆者は最初、こう試算しました。

AIエージェントを15〜25並列で動かしたい。仮に1プロセスあたり600MBとすれば、600MB×25=15GB。加えてエディタとブラウザ。だから64GBは必要だろう——という机上計算です。

この試算は根本から間違っています。

実測すると、AIエージェント本体(claude.exe)は3セッション同時稼働で合計2,354MB(コミット)でした。並列でサブエージェントを動かしても、ローカルのプロセスは増えません

理由は単純です。AIエージェントの「重い部分」は、手元のPCで動いていないからです。

動く場所何が動くか
サーバー側(AI提供元)LLMの推論——本当に重い処理はすべてここ
手元のPCAPIクライアント、ファイルの読み書き、ツールの実行

少なくとも筆者が実測したClaude Codeでは、サブエージェントを10個立ててもサーバー側で10個の推論が走るだけで、手元に10個の重いプロセスが生まれるわけではありません。「並列数×プロセスのRAM」という掛け算は、そもそも成立しません。

補足:ローカルLLMは話が別です。OllamaやLM Studioでモデルを手元で動かす場合は、モデルの重みがそのままRAM(またはVRAM)に載るため、まったく別の要件になります。この記事が扱っているのはクラウドのAIエージェントを使う場合です。ローカル生成AI用のPCは生成AIパソコンの必要スペックを参照してください。

では、何がメモリを食っているのか【プロセス別実測】

実測しました。以下は、AIエージェント・エディタ・ブラウザ・文字起こしを同時に動かしていた、最も重い瞬間の値です。

プロセスプロセス数コミットサイズ
VSCode(エディタ)214.5 GB
Chrome(ブラウザ)414.3 GB
Python(faster-whisper large-v3・文字起こし)22.8 GB
Playwright(headless Chrome)111.0 GB
AIエージェント(claude.exe)32.35 GB
その他(OS等)約 5.6 GB
合計コミット20.57 GB

測定環境:Dell Vostro 3500/Core i5-1135G7(4コア8スレッド)/搭載RAM 7.73GB/Windows 11 Pro。値はタスクマネージャー等で確認できる「コミットサイズ」(確保された仮想メモリ量)です。

意外な結果でした。AIエージェント本体(2.35GB)より、VSCode(4.5GB)とChrome(4.3GB)の方が重い。

AIを使うPCのメモリが足りなくなる理由は、「AIが重いから」ではなく、AIを使う人の作業環境が重いからです。エディタを開き、ブラウザで調べ物をし、その横でAIを走らせる——この組み合わせが効いています。

測定上の注意:メモリの数字にはワーキングセット(実際に物理メモリに載っている量)コミット(確保された量・Private Bytes)があり、別物です。同じclaude.exeでも、ワーキングセットでは約0.44GB、コミットでは約2.35GBと5倍以上違います。数字を比べるときは、必ず同じ指標で揃えてください(筆者はこれを混同して、一度誤った結論を出しました)。

「遅い」の原因が本当にメモリなのか、切り分ける

ここが重要です。「PCが遅い=メモリ不足」とは限りません。ディスクかもしれないし、CPUかもしれない。そこで、メモリ・ディスク・CPUを同時に測って切り分けました。搭載メモリ7.73GBのPCでの実測です(Windowsの性能カウンタを30秒間隔で記録)。

時刻コミット空きRAMpage reads/secディスク読みディスク待ち行列CPU
21:07:4717.24 GB815 MB966.90.308 ms0.0017.3%
21:08:2317.34 GB842 MB263.60.371 ms0.0029.1%
21:08:5917.25 GB881 MB567.20.336 ms0.0016.4%

読み方はこうです。

容疑者実測判定
ディスク(SSD)読み0.3ミリ秒・待ち行列 0.00シロ。誰も待っていない
CPU使用率16〜29%シロ。余っている
メモリpage reads/sec が毎秒264〜967回クロ

page reads/sec は、メモリに載りきらなかったデータをディスクから読み直した回数です。ディスクは待っておらず、CPUは余っている。それでも毎秒数百回、メモリの中身をディスクから読み直している——これがメモリ不足の実像です。

しかもこの数字はブラウザを閉じた状態のものです。VSCode(5,976MB)とAIエージェント(2,943MB)の2つだけで約8.9GB。普段どおりブラウザを開けば、ここにさらに4GB前後が乗ります。

※自分のPCで再現する場合は、性能カウンタの「\Memory\Page Reads/sec」「\PhysicalDisk(_Total)\Current Disk Queue Length」「\Processor(_Total)\% Processor Time」を同時に記録してください。

結論:AIエージェント用途のメモリは32GB

実測から導くと、こうなります。

容量判定理由
8GB論外実測17.3GBの半分以下。常時ページング
16GB不足実測17.3GBを下回る。ブラウザを開いた時点で足りない
32GB適正ピーク20.57GBに対し十分な余裕
64GB過剰この用途では使い道がない

64GBが必要になるのは、動画編集、多数の仮想マシン、ローカルLLMの実行といった用途です。クラウドのAIエージェントを使う分には、そこまで要りません。

正確を期すために:「コミット20.57GB=物理メモリが20.57GB必要」と読むのは誤りです。コミットには予約分が含まれます。正しくは「16GBではページングが起きる。32GBならページングを大幅に減らせる蓋然性が高い」であって、「32GBにすればすべて解決する」ではありません。CPU起因の遅さ(次の章)は残ります。

メモリを増やしても直らないこと

正直に書きます。メモリは万能ではありません。

上の測定でCPU使用率は16〜29%でした。CPUは余っています。逆に言えば、CPUを使い切る種類の作業は、メモリを増やしても改善しません。

代表例がローカルでの文字起こしです。同じPCでfaster-whisper(large-v3モデル)を回すと、41分の音声の文字起こしに113分かかりました(0.36倍速)。これはCPUの処理能力による制約なので、メモリを32GBにしても変わりません。高速化にはNVIDIA製GPUが必要です。CPUとGPUの実測差は「Whisperの文字起こしはCPUとGPUで何倍違う?」で検証しています。

逆もまた然りです。この実測のとおりCPUが余っているなら、AIエージェント用途のために高価な上位CPUへ投資する優先度は低いということです。予算はメモリ(とSSD容量)に寄せる方が合理的です。CPU性能が効く用途かどうかはCPUの選び方ガイドで確認できます。

買うときの注意(この市況では特に)

メモリ32GBの機種を選ぶとき、いまの時期は2点だけ気をつけてください。

① 32GBを「安く積める機種」を選ぶ。メモリ価格の高騰で、BTOの増設オプションが大幅に値上がりしています。2026年7月時点の実例では、あるBTOメーカーは8GB→32GB化に+75,900円(最安構成でも22万円超)、別のメーカーは32GB構成が14万円台でした。同じ32GBでも機種の選び方で8万円以上変わります。

② メモリを増設できる機種かどうかは、仕様表では分からないことがある。基板直付け(オンボード)で増設不可の機種があります。また、仕様表に「最大64GB」とあるのに、実際の注文画面には64GBの選択肢が存在しない機種も確認しました。購入前に必ずBTOカスタマイズ画面・メーカーの型番別スペックシートで確認してください。具体的な調べ方は「買う前の調べ方の記事」を参照してください。

なぜここまでメモリが高いのか、待てば下がるのかは、メモリ価格高騰の実データ記事で一次情報つきで解説しています。

よくある質問

AIエージェントを使うPCに、メモリは何GB必要ですか?

実測では32GBが適正でした。AIエージェント・エディタ・ブラウザを同時に動かした状態で、メモリ要求(コミット)は17〜20GB程度です。16GBでは不足し、64GBはこの用途では使い道がありません(64GBが必要になるのは動画編集・多数の仮想マシン・ローカルLLM実行などの用途です)。

AIエージェントを並列で動かすと、メモリも並列数だけ必要ですか?

いいえ。LLMの推論はAI提供元のサーバー側で実行されるため、手元のPCにあるのはAPIクライアントだけです。実測では、3セッション同時稼働で合計2,354MB(コミット)でした。並列数を増やしても、ローカルのメモリ使用量は線形には増えません。

AIエージェント本体がメモリを一番食うのですか?

いいえ。実測ではAIエージェント(2.35GB)より、VSCode(4.5GB)とChrome(4.3GB)の方が重い結果でした。メモリが足りなくなるのは、AIが重いからではなく、AIを使う人の作業環境(エディタ+ブラウザ+AI)を同時に開くためです。

メモリを増やせばPCは速くなりますか?

遅さの原因がメモリなら改善します。原因がCPUなら変わりません。実測では、文字起こし(faster-whisper)はCPU性能が制約で、41分の音声に113分かかっていました。これはメモリを増やしても改善しません。原因の切り分けには、page reads/sec(メモリ起因)、ディスクの待ち行列(ディスク起因)、CPU使用率(CPU起因)を同時に見る必要があります。

ローカルでLLMを動かす場合は何GB必要ですか?

この記事の対象外です(本記事の実測はクラウドのAIエージェント利用時のもの)。ローカルLLMはモデルの重みがそのままメモリやVRAMに載るため、まったく別の要件になります。生成AIパソコンの必要スペックを参照してください。

まとめ

クラウドのAIエージェントを使う業務PCのメモリは、実測ベースで32GBが適正です。重いのはAI本体ではなく「エディタ+ブラウザ+AI」の同時使用で、16GBでは実測値(17〜20GB)に届きません。一方、LLMの推論はサーバー側で走るため、並列数を増やしてもローカルのメモリは線形には増えず、64GBはこの用途では過剰です。メモリはいま高騰中のため、32GBを安く積める機種を実際の注文画面で確認して選んでください。

⚡ 次に読む

メモリはいま1年で5〜6倍という異常な高騰の最中です。「待てば下がるのか」を一次情報で検証した記事もあわせてどうぞ。

▶ メモリ価格が1年で5〜6倍。今買うべきか
メモリ・ストレージの選び方ガイド

本記事の実測は2026年7月時点・筆者の業務PC(Dell Vostro 3500/Windows 11 Pro)での測定値です。測定条件が異なれば値は変わります。価格に言及した箇所は2026年7月17日時点の各公式サイト実取得値です。

監修者

江田健二のプロフィール画像

江田 健二(RAUL株式会社 代表取締役)

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュアにてエネルギー・IT分野のコンサルティングに従事。2005年にRAUL株式会社を設立し、企業のシステム開発支援からWebマーケティング戦略まで幅広い領域を支援してきた。

IT・デジタルテクノロジーおよびエネルギー業界・電力ビジネスに精通し、デジタルと社会インフラの接点を捉えた情報発信を行っている。

光回線、VPN、PC、格安SIM、電力系のメディアを複数運営。Yahoo!ニュース公式コメンテーターやテレビ・ウェブメディアでも幅広く発信中。

監修者(江田健二)のプロフィール・実績はこちら

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

RAUL株式会社

4DPocket(https://4dpocket.jp)は、RAUL株式会社が運営するPC・ガジェット情報メディアです。編集部ではノートパソコン・デスクトップPC・VPNなどのデジタル機器について、スペック比較・用途別おすすめ・選び方ガイドを提供しています。記事の監修は代表取締役の江田健二(元アクセンチュア、IT・エネルギー業界専門家)が担当。正確で実用的な情報をお届けします。

-Tech Tips

当社運営メディア